そして、さらに言えば、1対1で迎えた前半のアディショナルタイムの2点目とか、後半開始早々同点とされた直後(49分)の3点目、そして、再び勝ち越されてダメージを受けた清水エスパルスをさらに突き放した52分の4点目といったように、相手にとっては非常に嫌な時間帯を見極めてきっちりと攻撃の圧を強めることができるあたりも、選手間の意識が共有されていることを示している。

■「絶対のエース不在」の意味

 こうしたメリハリのある試合展開ができれば、夏場の酷暑の中で試合が続いても、負担を軽減できる。

 そして、横浜FMのもう一つの強みは選手層の厚さだ。

 この日も、後半の半分が過ぎるころから横浜FMのケヴィン・マスカット監督は相次いで交代カードを切った。そして、そこで登場するのが2019年にJ1優勝を遂げたシーズンで得点王を分け合ったマルコス・ジュニオール仲川輝人であり、そして長いヨーロッパでのプレーを終えて、今シーズンから横浜FMに加入した宮市亮なのだ。

 こうしたハイレベルの交代選手がベンチに控えているからこそ、先発組も安心して走り切ることができる。

 今シーズンの横浜FMには“絶対のエース”はいない。しかし、宮市が横浜FMのプレーに慣れてきたこと。あるいは渡辺皓太藤田譲瑠チマ、角田涼太朗などの若手が成長してきたことによって、今シーズンが始まった時点と比べても横浜FMの選手層は格段に厚くなった(ローテーションを使わざるを得ない超強行日程で行われたAFCチャンピオンズリーグACLの戦いも若手の成長につながった)。

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