■草サッカーをする元代表選手

 その夜、バンダル殿下の邸宅を訪れると広い応接間に通されました。目の前の庭では大勢でサッカーをしていました。正規のサッカー場ほどではありませんが、フットサル・コートよりも大きな芝生のグラウンドがあったのです。

 僕は「けっこう上手な選手がいるな」と思いながら応接間から“草サッカー”を見ていたのですが、後で聞いたらその「上手な選手」はアル・ヒラル所属の元サウジアラビア代表だったそうです。

 しばらく待っているとバンダル殿下が現われて、握手を交わしました。その時、殿下の掌の柔らかさに驚いたというわけです。王族の一員として生まれ、何不自由ない生活をしてきた殿下の掌が柔らかいことに不思議はありません。

 殿下の家では、もちろん大変なご馳走で歓待していただきました。また、サウジアラビア滞在中に試合を見る時には貴賓席のような場所に座って観戦。試合中には、東南アジア出身の召使いたちがお茶やスナックの給仕をしてくれて、僕も王族の一員になったような気分で観戦していました。

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