後藤健生の「蹴球放浪記」第117回「握手をした殿下の柔らかな掌の記憶」の巻(2)元代表選手が庭でプレーする中東王族の邸宅の画像
サウジが所属したフランスW杯1次予選第1組。マレーシア・ラウンドの入場券 提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は、世界中を駆け巡る。時には、普段なら接触することもないセレブと、文字通り「触れ合う」こともある。サッカークラブを持つオーナーたちには、ある「共通点」があった。

■GKコーチの謎の自慢

 アル・ヒラルのグラウンドでトレーニングを見ていたら、流暢な英語を話すコーチが話を聞かせてくれました。そして、GKの一人を指差してこう言ったのです。

「あのGKはな、ボールを片手でつかめるんだゾ」と。そして、コーチは目の前にあったボールを片手で上からつかむ真似をしたんです。

「え、それって難しいこと?」と思って、僕が真似をして「こうですか?」とボールをつかんで見せたら、コーチは「おい、すごいな!」とびっくりしていました。なぜ、そんなにびっくりされたのか、今でもその一連の会話は僕の中で大きな謎のままです。

 そんな雑談をしていたら、広報担当者がやって来て「会長のバンダル殿下が会いたいと言っているので、今夜、殿下の家に行ってくれ」と言うのです。

 アル・ヒラルは王族の一員バンダル殿下のポケットマネーと、殿下が経営する企業からの広告収入によって運営されているのです。

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