ペトロヴィッチ監督が嘆きたくなる気持ちもよく分かる。

「5人交代制で若手選手に出場機会が与えられるのなら日本のサッカーのために良いことだが、出てきたのは小林のようなベテランやブラジル人ばっかりだった」とは、ペトロヴィッチ監督の精一杯の皮肉だった。

■5月後半の「危機的状態」

 川崎は5月後半には危機的状態が続いていた。

 5月18日の第11節延期分のヴィッセル神戸戦に1対0で勝利した後、3試合連続で無得点。サガン鳥栖戦は引き分けに終わったものの、湘南ベルマーレと京都サンガFCに連敗。とくにホームでの湘南戦(第15節)は0対4という、“強い川崎”を記憶している僕たちにとって信じられないような敗戦だった。

 2020年シーズン、2021年シーズンを圧倒的な強さで連覇した川崎。とくに2021年の前半には「1試合3得点」という鬼木監督が掲げる目標を何度も達成。前線から激しいプレッシャーがかかると、相手チームは川崎陣内に入ることすら難しかった。

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