【J1考察】「本来の川崎」を引き出してしまった北海道コンサドーレ札幌【強い川崎フロンターレが戻ってきた?】(1)の画像
札幌に大勝した川崎 撮影:中地拓也

 ここ数年のJリーグを席巻してきた川崎フロンターレだが、今シーズンに入ってからは様子が変わってきた。だが、リーグ中断明けの試合では、またも違った姿を見せた。「強い川崎」は戻ってきたのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

ペトロヴィッチ監督の嘆き

 6月18日のJ1リーグ第17節で川崎フロンターレに逆転負けを喫した北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は試合後に語った。

「交代選手の質の差が出たかな。5人交代制では選手層の厚いビッグクラブが有利。レアル・マドリードのような金持ちクラブには代表クラスが20人もいるが、札幌のような小さなクラブではそうもいかない……」

 札幌は、28分に先制し、前半終了間際に追いつかれたものの、66分にはCKから荒野拓馬がヘディングを決めて再びリードした。だが、直後の69分に再び同点とされ、試合の終盤に3連続失点を喫して、終わってみれば2対5の敗戦となった。

 必至で逃げ切りを図る札幌に対して川崎は圧力をかけ続け、そして最後の時間帯に攻撃力を爆発させた。58分に交代で投入された小林悠が2ゴール1アシストと活躍。レアンドロ・ダミアンも札幌GKの中野小次郎に対してプレッシャーをかけ続け、このプレッシャーによってマルシーニョがGKからのパスをカットすることに成功して生まれたのが89分のダメ押し点だった。

 

 58分に小林が投入されたのに続いて、川崎の鬼木達監督が次々と投入したのはマルシーニョ(74分)、レアンドロ・ダミアン、ジョアン・シミッチ(ともに82分)という強力なメンバーだった。

 後半開始から川崎の激しいプレッシャーを受け続け、なんとか耐え続けていた札幌の守備陣にとって、終盤の疲労を溜め込んだ状態でこれだけ得点力のあるアタッカ―がフレッシュな状態で投入されてきたのではたまったものではない……。

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