■カウンターを狙う共通理解はどこまであったのか
ドイツ、スペイン、それにコスタリカとのグループステージで2位以内を確保するためには、1勝1分1敗、1勝2分、あるいは2勝1敗といった成績を残す必要がある。ドイツかスペインのどちらかから、勝点をつかまなければいけないのだ。
チャンスを数多く作り、そのうちひとつかふたつを決めて勝つというシナリオは、W杯では現実的でない。好機を逃さない決定力が問われるが、チュニジア戦ではチャンスを生かせなかった。それだけにリスタートを生かしたいのであり、カウンターも磨いていかなければならない。
カウンターにふさわしいアタッカーとして、今回の4試合では浅野拓磨、古橋亨梧、前田大然が起用された。浅野はパラグアイ戦で、前田はガーナ戦でゴールを決めている。古橋はネットを揺らせなかった。結果だけを見ると明暗が分かれるが、彼らのスピードを生かす狙いがどこまで共通理解となっていたのか。GKからビルドアップを試みるなかで、前線へシンプルに縦パスを通す攻め筋は、選びにくかったのかもしれない。彼らが特徴を生かせるような攻撃は、決して多くなかったと言える。
いずれにせよ、カウンターは格上攻略の手立てとなる。攻め筋に加えていくべきだ。
大迫勇也が不在だったなかで、タイプの近い選手として上田綺世がガーナ戦で先発した。80分までプレーしたが得点を奪えず、この試合で負傷したことでチュニジア戦には出場できなかった。結果として、大迫を脅かすことはできていない。
6月シリーズでは酒井宏樹、冨安健洋、守田、大迫らがピッチに立たなかった。彼らの不在がテストを促し、選択肢の増えたポジションはあるが、序列が大幅に変わったポジションはない。
11月のカタールW杯は、これまでより3人多い26人でチームが編成されそうだ。「プラス3」を含めた絞り込みは、どういう戦略を描くのかに関わってくる。また、所属クラブでのパフォーマンスも選考の条件に含まれる。とりわけ今オフの移籍が取り沙汰される選手については、新天地選びと新シーズンのパフォーマンスが問われていく。