森山佳郎監督がU-16日本代表に課した「追試」【変化が見えてきた「日本代表VS韓国代表」の構図】(3)の画像
昨年の韓国戦で圧倒した日本代表。時代は変わったのか 撮影:原悦生(SONY α9Ⅱ使用)

 カタール・ワールドカップに出場する日本代表が準備を進める一方、年代別の日本代表もそれぞれの目標に向かって踏み出している。この6月には、2つの日本代表が、それぞれの年代別韓国代表と対戦。その戦いぶりには、これまでにない構図が見えてきた。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■チームで共有されていたテーマ

 攻撃面でも、U-16日本代表は従来の日本チームとはかなり違っていた。正確に中盤でボールをつなぐのではなく、ボールを奪うとまず前線にボールを送り込もうとするのだ。

 チーム全体に「フィジカルで負けない」というテーマが共有されていたからであり、また日本の前線に高さとスピードを持つストライカーがいたからだ。

 韓国戦の先発ツートップは磯崎麻玖(大宮アルディージャU18)と徳田誉(鹿島アントラーズユース)。磯崎が189センチ、69キロという高さのあるタイプ。徳田は185センチ、82キロとパワフルで、ボールを収めて起点も作れる万能型ストライカーだ。磯崎は前半のみ、徳田は70分までのプレーだったが、70分に登場した道脇豊(ロアッソ熊本ユース)も186センチ、70キロという大型FWだった。

 つまり、このチームには大型ストライカーが3人もそろっているのだ。従って、ボールを奪ったらまず前線へのパスを考えるというのは非常に合理的な考え方なのだ。

 こうして、攻守ともに韓国相手にフィジカル勝負を挑んだ日本は、7分に右CKからのこぼれ球を、待ち構えていた矢田龍之介(清水エスパルスユース)が決めて先制。40分には右サイドのスペースに走り込んだ杉浦駿吾(名古屋グランパスU-18)のクロスを磯崎が頭で決めてリードを広げ、後半開始早々の51分に相手ボールを奪った杉浦がそのままドリブルで持ち込んで、自ら決めた。

  1. 1
  2. 2
  3. 3