■フル代表にも見える時代の変化

 従来、日本が韓国と戦う時には「フィジカル勝負では分が悪い」という前提の下、ボールテクニックやパスワークを使って「いかにしてフィジカル勝負を避けるか」を考えるのが常だった。

 だが、6月に行われた年代別の2つの日韓戦では、日本代表は韓国相手にフィジカル勝負を挑んで一歩も引かず、完勝したのである。

 ワールドカップの強化試合を戦った日本のフル代表は、世界ナンバーワンのブラジル相手には、守備で頑張って1点勝負に持ち込みはしたものの、決定機はまったく作れなかった。伊東純也のスピードに乗った仕掛けも、三笘薫のトリッキーなドリブルもまったく通用しなかった。

 世界のトップとの差を思い知らされた試合でもあった。

 だが、パラグアイ戦やガーナ戦では日本が完勝した(この原稿は、チュニジア戦の前に書いている)。

 もちろん、パラグアイはワールドカップ予選に敗退したチームだったし、ガーナは明らかに準備不足、コンディション不良だった。

 だが、それでもガーナもチュニジアもアフリカ予選を勝ち抜いたチームだったし、パラグアイだって南米の伝統国である。

 しかし、パラグアイ戦もガーナ戦も、観戦していると「相手が弱すぎて、本当のテストができない」といった印象を持ってしまう内容だった。とくに、ガーナ戦はブラジル戦の直後だったので、あのブラジルのスピード感あふれる攻撃に比べて大きく見劣りして見えた。

 世界のそこそこの(ワールドカップ・レベルの)代表チームと対戦しても、最近の日本代表の試合は「相手が弱すぎて……」という印象の試合が多くなったのだ(ブラジル戦は、久しぶりに本格的な試合だった)。

 それだけ、日本のレベルが上がっているのだろう。日本代表戦の人気の翳りも指摘されるが、それも強い相手との戦いが実現できないからというのも理由の一つだろう。

 年代別の日本代表が韓国相手にフィジカル勝負で勝利し、フル代表は南米、アフリカの代表と試合をしても「相手が弱い」という印象を抱かせてしまう。

 時代は変わった、のであろうか。

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