■ルーマニア戦からの「追試」
U-16日本代表の森山佳郎監督によれば、この日の韓国戦は“追試”だったのだという。
U-16日本代表は5月にはルーマニアに遠征している。そして、最後に戦ったルーマニア戦でフィジカル勝負に負けて、2対3で敗れてしまった。選手たち自身にフィジカル勝負を避けるという意識が強すぎたようだ。
そこで、そのルーマニア戦からあまりメンバーを変えずに、フィジカル勝負ができるかを試そうという“追試”だったというのだ。
そして、インターナショナル・ドリームカップの初戦は、フィジカル勝負のテストには絶好の相手、韓国との試合だったというわけだ。
そして、若い選手たちは監督の要求に見事に応えて、結果を出したのである。
もちろん、「ボールを奪ってからすぐに前にボールを送ろう」という意識が強すぎたため、前線の選手の態勢が整う前にロングボールを蹴り込んでみたり、パスの精度が落ちて、簡単に相手にボールを渡す場面も多かった。ボールをつないで時間を作るべき場面でも、すぐに蹴ってしまうような判断ミスもあった。
だが、とにかく現段階では韓国相手にも、フィジカル勝負で勝てたという事実が重要なのだろう。そのうえで、パスのつなぎや、状況判断の能力を身につけていけば、チーム力は上がっていくはずだ。
森山監督は韓国戦での激しい戦いで「3試合はもたないんじゃないか」と言っていたが、U-16日本代表はインターナショナル・ドリームカップでU-16ウルグアイ代表に4対0、同メキシコ代表に2対0で勝って、3戦全勝、得点9失点0で優勝を遂げた。
もちろん、この大会は招待大会であり、ホームで戦う日本が有利な状況での勝利であるし、韓国戦では危ない場面が何度もあった。
だが、それでも最大の収穫は韓国相手にでもフィジカル勝負を挑んで勝利したという事実であろう。