サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、ワールドカップの審判が男女同数になる未来―。
■国内より世界で評価が高い日本の女性審判員
2019年、山下良美主審は「女子」が取れて「1級」になった。スピードの面でも男子の試合を十分こなせると判断されたのだ。そしてJFL(J3の下に置かれた全国リーグ、プロの制約がなく、企業チームも参加している)での活動を始めた。5月15日には、坊園真琴副審、手代木直美副審とともにAFCカップのヤンゴン・ユナイテッド(ミャンマー)対ナガ・ワールド(カンボジア)を担当した。AFCが主催するプロレベルの男子の大会で女性が主審を務めるのは初めてのことだった。
ちなみに、坊園副審は山下主審の大学時代の先輩で、選手として活躍していた山下主審を審判員の世界に引き込んだ人である。いわば審判の「いろは」から教わった先輩が、山下主審が「国際主審」になったのと同じ2015年に「国際副審」となり、いっしょにアジアのサッカーの歴史をつくり、また、手代木副審とのトリオでこの後のFIFA女子ワールドカップに出場することは、山下主審にとって大きな喜びであると同時に、非常に心強かったに違いない。