■「ボールの引き出し方」と「ポストプレー」
相手DFラインとの駆け引きをしながら、ボールを引き出すうまさを見せたのは前半の44分だった。
左のアルトゥール・カイキからパスを受けた鈴木優磨が前を向いた瞬間、右サイドからゴール前にスルスルと入ってきた上田の動き。DFからすれば捉まえにくいタイミングだったし、しっかりと鈴木の側に顔を向けてアイコンタクトを保って良い姿勢での入り方だったし、FC東京のDFの木本恭生と絞ってきた小川の2人のちょうど真ん中を狙ったコース取りも完璧。木本の反則ぎりぎりのタックルで前は向けなかったが、こうした賢いプレーも上田の持ち味だ。
また、ポストプレーのうまさを見せたのは62分の場面だ。
DFのブエノが自陣からトップにいる上田に送ったロングパス。前線で浮いていた上田は胸でコントロールして、左サイドを上がってきた常本佳吾に開くパスを送った。
この場面は、上田の位置が明らかにオフサイドではあったものの、マークしていた木本を体でブロックできる位置にボールを落として余裕を持って収めたあたりはさすがのプレーと言ってよかった。
試合の流れのせいで、上田の良いプレーはそれほど多く見られなかったが、それでも彼の持ち味は垣間見ることができた。もっとも、ブラジルやドイツ、スペインといった世界のトップクラスの相手と対戦することを考えれば、ゲームの流れがうまくいかない中でも、もっと相手に脅威を与えるようなプレーをしてほしいのも事実なのだが……。
ただ、いずれにしても上田は良いコンディションで日本代表のセンターフォワード争いというオーディションの場に臨むことができそうではある。