先週末のFC東京と鹿島アントラーズの対戦は、点差はついたが見応えがあった。また、見どころも多く転がっていた。好ゲームとなった中断期間前最後の一戦を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■日本代表で期待がかかる上田
これまで、日本代表は絶対的なエース大迫勇也が存在することを前提にチームが作られてきた。
トップの大迫がくさびのパスを受けて、そこでタメを作って周囲の選手を使う。それが、基本だった(もちろん、大迫は反転して自らシュートを狙うこともできる)。
大迫が台頭する前は、前線でボールを収めるのは本田圭佑の役割だった。動きが少ない本田に対しては「不要論」もあったが、一方で前線で相手DFを背負ってボールを収めることのできる貴重な存在として、本田は代表で活躍をつづけた。
ロシア・ワールドカップが終わって森保一監督の時代になると、本田は代表から離れ、「前線でボールを収める」という役割は、大迫が一身に背負っていた。
大迫と言う選手の存在を前提に組み立てられてきた日本代表の攻撃。もし、このまま大迫が代表でプレーできないようであり、その代役がスピード系の古橋亨梧や前田大然、浅野拓磨ということになれば、彼らに合わせた攻撃の形を作っていかなければならない。どうやってスピードスターたちの動きを最大限に引き出すパスを送り込むのか……。中盤の人選やシステムにも影響は波及する。
一方で、もし上田が使えるのなら、前線で起点を作るという意味で大迫がいる場合と同じような組み立てができるはずだ。
「大迫の後継者」が総合的センターフォワードである上田になるのか、スピード系(裏抜けタイプ)の古橋、前田、浅野になるのか……。それは、日本代表の根幹にも影響してくるのである。
そういう意味では、代表活動前の最後のゲームとなったFC東京戦は上田のプレーにも大いに注目したい試合でもあった。