大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第88回「食べられないコーン」(1)「コート」や「エリア」「立ち位置」の創造者の画像
赤ちゃんや小さい子どもはカラフルなコーンが大好きだ。(c)Y.Osumi

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は、いまやトレーニングに不可欠なもの。

■正確には「コウン」

 「コーン」といえばトウモロコシ。コーンポタージュは、とてもポピュラーなスープのひとつである。もうひとつある。アイスクリームやソフトクリームを乗せる「コーン」。だがこの英語の正確な発音は「コウン」。英語でトウモロコシがcornとつづられるのに対し、こちらはcone。「円錐」のことをいう。今回の話は、こちらの「コーン」である。

  私が監督をしている女子チームには何人もの「お母さん選手」がいて、赤ちゃんをグラウンド脇で遊ばせておいて練習に励む選手も珍しくない。赤ちゃんや小さな子どもは色とりどりのコーンが大好きで、並べたり、互い違いに縦に積み重ねたりして、けっこうひとりで楽しく遊んでくれる。しかし目を離すと、ときどき口にもっていこうとする。片目で練習を、そして片目で赤ちゃんを見るのが役割の私は、あわてて止める。もちろんのこと、サッカーの練習で使うコーンは食べられないのである。

 さて、コーンは赤や黄などの目立つ色をしたプラスチック製の円錐形の目印であり、サッカーのトレーニングなどで重宝されている。その多彩な変形を含め、いまやサッカーのトレーニングに不可欠な用具と言うことができるだろう。これを使ってスペースを区切ったり、一列に並べてジグザグに走ったりドリブルしたりする。

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