■「手放しで喜べる勝利ではない」としても
J2リーグ第12節、大宮アルディージャ対ザスパクサツ群馬。最終スコアは「3対2」――。大宮は群馬に2点を先制されてから3点を取り返して勝利した大逆転劇だった。
「平日の夜にもかかわらず、本当にこれだけ多くのサポーターが来てくれたなかで、選手たちがそれを意気に感じて魂のこもった試合をしてくれたと思います。ハーフタイムに『1点取ったら3点取れる』と言って送り出したら、本当に3点取ってくれた。今日は選手たちが本当に戦ってくれた。それがちゃんと結果につながった」
68分の逆転後、押し込まれる中なんとか逃げ切った試合後、大宮アルディージャの霜田正浩監督はファン・サポーターに感謝し、選手たちを讃えた。「開始早々にPKを与えるとか、連続失点をしてしまうとか、相変わらず課題はあるので手放しで喜べる勝利ではありません」とも話し、表情を崩すことはなかった。
それでも、大逆転劇である。浮上へのきっかけとなるのは間違いない。自身3点目となる決勝弾をゲットしたMF矢島慎也も、指揮官同様に反省と収穫を口にした。
「前半の2失点が非常にもったいなかったという感覚ではいますけど、ここまで戦ってきたなかでもったいないと思う失点が続いているので、もったいないのではなくこれが自分たちのいまの実力という感覚でいます。ただ、これまでの試合と違ったのは、後半に1点ずつ返して、勝ち切れたこと。チームとして守れて勝てたことは、少しずつですけど成長している部分です」
順位は依然としてJ3降格圏の21位だ。それでも、20位のいわてグルージャ盛岡との勝点差は「2」で、19位の水戸ホーリーホックとは勝点3差だ。5連戦の過密日程も、勢いを持ち込める意味で好都合だろう。大宮に巻き返しの好機が訪れている。