■韓国が自尊心を養った歴史

 だが、それにしても日本を相手にそこまで割り切って戦うというのは驚くべきことだ。

 第2次世界大戦前、朝鮮半島がまだ日本の植民地統治下にあった時代から、サッカー(蹴球)とボクシング(拳闘)だけは「日本人に勝てる競技」と思われていた。

 1920年代まで韓国(朝鮮)で最も盛んな競技だった野球では、実力的に日本の方がはるかにリードしていた。韓国の野球が強化されたのは日本に留学した朝鮮人選手が日本野球の技術を紹介したからだったし、朝鮮半島在住の日本人チーム(実業団や旧制中学校チーム)が韓国チームの目標だった。

 だが、当時の朝鮮半島在住の日本人はほとんどサッカーをプレーしていなかったから、サッカーは朝鮮独自に発展していた。そして、当時の日本本土のサッカーチームとも互角以上の戦いをし、全日本選手権大会や明治神宮競技大会などで朝鮮のチームが優勝するのは珍しいことではなかった。

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