もっとも、終わってみれば結果はスコアレスドロー。
両チームが無得点に終わったのは、FC東京のヤクブ・スウォビィク、浦和の西川周作と両GKの好守もあったが、やはりまだまだチームの完成度がともに低く、攻め込みの回数が多い割にフィニッシュで理想的な形が作れなかったということが原因だった。
ただ、それでも試合がエキサイティングになったのは、双方の攻撃的な姿勢があったからこそ。中盤では激しいボールの奪い合いが続き、サイドの選手は強引なドリブル突破を仕掛け、それに対して守備側も激しいコンタクトで応戦。ゴール前でも中盤でも、あるいはタッチライン沿いでも激しいプレーが増えて、両チームの選手たちがもみ合いになる“一触即発”の熱い雰囲気がスタンドにまで伝わってきた。
■さすがの力を示した長友佑都
最近のJリーグではなかなか見られないような熱い試合になった一つの要因は、双方の選手たちの対抗心だった。
たとえば、FC東京から見て左サイドでは日本代表のサイドバックとして長くともに戦ってきたFC東京の長友佑都と浦和の酒井宏樹が対峙した。Jリーグに復帰する前には、フランス・リーグアンのマルセイユでも同僚だった両者である。
試合のスタッツを見ても分かる通り(たとえば、シュート数は浦和の12本に対してFC東京は7本)、90分を通して試合は浦和がやや優勢だった。
その浦和優勢の最大の要因が、右サイドのダヴィド・モーベルグのスピード感溢れるドリブルの仕掛けだった。とくに前半の最後の時間帯はこのサイドからの崩しは非常に有効だった。
そのモーベルグの突破を追い越して、さらに酒井も加わるのだから、浦和の右サイドからの攻撃は強力だった。そのサイドの攻防で、突破を許しかける場面は何度もありながら、なんとか持ちこたえてみせたあたりは「さすがに長友佑都」だった。64分にモーベルグが退き、浦和は松尾佑介を左サイドに入れ、小泉佳穂を右に回したが、その後は長友は余裕を持って90分間走り切った。