■鬼木監督「彼も勝負の1試合だと思って臨んだと思います」
試合が始まると、今季初先発のシミッチが中盤の底からピッチを広く使うような配球を実施した。キック力があるだけに、試合に出ていた時には短いステップでのサイドチェンジで川崎の攻撃にリズムを作っていた。その良さを、再び等々力のピッチで披露してみせた。
「今季は出場が初めてで多少出ていない分、ゲームの中でリズムをつかむまでは難しかったが、ゲーム前はアドレナリンが出て早く試合に出たいと思ってずっとやってきた」
こう語る28歳のボランチは、「今日のゲームに関しては少なからず勝利に貢献できた」と自負も見せた。鬼木監督も「彼も勝負の1試合だと思って臨んだと思いますけど、素晴らしいパフォーマンスだった」と称賛した。
「素晴らしい能力を持った選手」とリスペクトする相棒の橘田との相性も抜群だった。フランス代表のエンゴロ・カンテをもじって「エンゴロ・ケント」とも呼ばれる橘田の危機察知能力によって、シミッチとの補完関係もできていた。
今季、川崎は昨季までのような強さを発揮できていない。しかし、Wボランチの4-3-3で、チームは少し息を吹き返したかに見える。この新システムでもう一人、輝きを見せたのがWボランチの前でトップ下に入った選手だった――。