サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、「5人の恩人」。
■ショックだった友人の訃報
最近の最大のショックは、高校時代の友人であるTくんが5年前に亡くなっていたという知らせだった。サッカー部の仲間というだけでなく、私をサッカーの世界に導いてくれた大事な友人でもあった。その死を、5年間も知らなかったなんて…。
彼は足が速く、ドリブルがうまく、右のウイングとしてチームに欠くことのできない存在だった。長いストライドで力強く前進し、きれいにクロスを上げる彼のプレーを見て、なんども「すごいなあ」と感銘を受けたものだった。
私がこの仕事を始めた後にも、日産自動車のファンだった彼とは、三ツ沢球技場でよく会った。そういえば、三ツ沢の近くに実家のあった彼は、高校時代、彼はこのスタジアムの南西角にあった小高い道から、入場料を払わずに日本サッカーリーグの試合をよく見ていたと聞いたことがある。その道の前には、いまは高いフェンスが設けられ、「ただ見」はできなくなっている。