■副操縦席に座らされ…

 決勝まで時間があったので、コロラド州にあるグランド・キャニオン見物に行きました。8人乗りくらいの小型のセスナ機でした。小型機では左右の重量バランスを考えて座席を決めます。パイロットはかなり太ったおじさんでした。で、当時の僕は80キロ台後半とかなりのデブだったので、「君はここ」と副操縦席に座らせました。

 飛行中は「もし、パイロットが心臓麻痺で倒れたら、僕が操縦しなければいけないんだな」と思って、ずっと操縦の仕方を観察していたのですが、ふと下を見ると地理の教科書に載っていた図の通りのサン・アンドレアス断層が見えていました。半砂漠地帯なので植物はほとんど生えていません。だから、断層の形がそのまま見えるのです。そのスケールの大きさには、本当に驚かされました。「これが動いたら……」。たしかに、大地震になるでしょうね。

 そのほか、トルコに向かう際に眺めた、ソ連政府の環境政策の失敗で干上がって、ほとんど姿を消してしまったアラル海の痕跡もとても印象的な光景でした。

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