「怪しげなカネ」に頼ってきたサッカーとスポーツ界を待つ未来(4)スポーツを「持続可能」にする「真の投資」の必要性の画像
IOCにも影はつきまとう 画像/サッカー批評編集部

 ロシアのウクライナへの軍事侵攻は、世界中に大きな影響を与えている。そのネガティブな波動は、サッカーやスポーツ界にも及ぶ。今後をも大きく左右し得るが、その痛手は自ら招いたものでもあると、サッカージャーナリスト・後藤健生は説く。

■スポーツ界に広がる「金の力」

 ロシアや中東の資金に群がったのはクラブ経営者だけではない。

 IOCは2014年にはプーチン大統領の超豪華な宮殿が存在するソチで冬季オリンピックを開催(ソチは2018年のワールドカップの開催地ともなった)。そして、中国のウイグル族に対する人権問題が取り沙汰される中で、2022年には北京で冬季オリンピックを開催した。

 また、FIFAも2010年12月に開かれた理事会で大方の予想を覆す形で2018年ワールドカップをロシアで、そして2022年大会をカタールで開催することを決定した。このような決定がなされたのは、まさに「金の力」以外の何物でもない。

 また、ロシアは国を挙げてのドーピングとその隠蔽工作が明るみに出たことによって、WADA(世界アンチ・ドーピング機構)はロシアに対して資格停止を決めた。だが、IOCは「ロシア選手団」としてではなく個人としての参加を許容した。

 2018年の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックでは「ロシアからのオリンピック選手(OAR)」と呼ばれたが、2021年の東京夏季、2022年の北京冬季の両大会では「ロシア・オリンピック委員会」としての参加だった(ロシア・オリンピック委員会の略称は「ROC」だったが、ロシアの国名をロシア語で使われるキリル文字で表記すれば、頭文字3文字は「POC」となる。ロシア人から見たら、「ROC」というのは本来の略称「RUS」よりもずっと国名らしく見える)。

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