■たとえ現在は良くとも…
そして、中東産油国は王族たちの独裁下にあり、国民には政治的な権利はほとんど与えられていない。王族たちは独裁的な権力を維持し、巨額の富も独占しているのだ。また、インド亜大陸などからの低賃金出稼ぎ労働者は劣悪な環境での労働を強いられており、カタールではワールドカップ用のスタジアムやインフラの建設に当たって数千人の外国人労働者が命を落としていると報じられている。
そんな中東諸国からの資金が「ロシアン・マネー」よりきれいな資金であるとはけっして言えないはずだ。
将来、中東で何らかの形で政変が起これば、そうした資金が突然すべて引き揚げられてしまうといったリスクもある。
つまり、スポーツ界が「ロシアン・マネー」や中東からの資金といった“怪しげな”資金に頼ることは道徳的にも許されないことだし、長期的に考えれば安定した財源とは考えられないはずだ。
チェルシーの現在の苦境がそのことを能弁に語っている。