ロシアのウクライナへの軍事侵攻は、世界中に大きな影響を与えている。そのネガティブな波動は、サッカーやスポーツ界にも及ぶ。今後をも大きく左右し得るが、その痛手は自ら招いたものでもあると、サッカージャーナリスト・後藤健生は説く。
■「気の毒」で片づけられない根本的問題
新型コロナウイルス感染症の世界的流行によってただでさえ財政的に苦しい状態にあるスポーツ界、サッカー界は、「ロシアン・マネー」の消滅で多かれ少なかれ経営的な打撃を受けるはずだ。
しかし、アブラモビッチの資産がどのようにして形成されたものだったのかは、最初から分かっていたことだ。チェルシーは、その出所の怪しい資金を使ってチーム強化を図ってこの世の春を謳歌したのだ(アブラモビッチの出資を受けてから、チェルシーはプレミアリーグでは5度優勝。チャンピオンズリーグでも2度タイトルを獲得し、2022年にはFIFAクラブ・ワールドカップでも優勝している)。
怪しげな資金であれば、リスクが高いことは当然だ。チェルシーは、そのリスクを背負ってアブラモビッチの資金に頼ったのだから、チェルシーの苦境は自らが招いたものということもできる。であれば、「気の毒」とばかりも言ってはいられない。