■貫いたコンセプト
第2には、若い選手たちの堂々たるプレーぶりが挙げられる。横浜FMのMF藤田譲瑠チマ(20歳)と山根陸(18歳)、神戸のFW小田(20歳)とDF小林友希(21歳)。どの選手も、「ピッチに立ったら年齢は関係ない」ことを示した。周囲に引っぱられるのではなく、責任を自覚し、やるべきことをやり続けた。
だが好ゲームの最大の要因は、横浜FM、神戸とも、「チームコンセプト」が明確で、それが、誰がプレーしても変わらないほどチームに浸透していることではなかっただろうか。神戸の三浦淳寛監督は一昨年の途中、そして横浜FMのケヴィン・マスカット監督は昨年の途中に就任し、明確なコンセプトの下、しっかりとチームを鍛えてきた。その結果、メンバーが変わってもチームのコンセプトが貫かれ、後半の半ば以降に両チームが選手を次々と入れ替えても試合のリズムが壊れず、運動量が戻ることで試合をさらに激しく、内容の濃いものとしていった。
シーズンにはいってわずか2週目で、しかも両チームが理想とするメンバーから数多くの中核選手を欠いていながらこれだけの内容の試合ができたことに、私は大きな驚きを覚えた。試合は2-0で横浜FMが勝った。しかし逆のスコアでもまったくおかしくない試合だった。90分間走り抜き、戦い抜いた両チームを、心から称賛したいと思う。