■ディナモの施設にある皮肉なモニュメント
キエフの中心街はドニエプル川の南西に位置しています。
ドニエプル川はロシア西部からベラルーシを南に横切って、ウクライナを北西から南東方向に流れて、最後はロシアが勝手に併合してしまったクリミア半島の西で黒海に注ぐ大河です。
ロシアやウクライナの内陸部は海から遠いので、滔々と流れる大河が人や物を運ぶ交通手段となってきました。そして、大河沿いの丘などの要衝に都市が築かれるのです。
キエフの街自体もいくつもの丘によって成り立っていますが、ドニエプル川の南岸にも川に沿った細長い丘が連なっているのが分かります。川が氾濫した時に土砂が堆積して作られる自然堤防なのでしょう。川に並行して北西から南東に向かっています。
レバノフスキー・スタジアムがあるディナモのスポーツ施設もそんな自然堤防の森の中に点在しているのです。
そのディナモの施設の入口付近には「民族友好記念アーチ」という巨大なモニュメントがそびえています。ソ連が存在した1980年代にロシアとウクライナの友好を記念して作られたという、今から思えば大変に皮肉なモニュメントですが、そのあたりはドニエプル川を見下ろす眺望が開けています。