■2月18日/J1第1節 川崎フロンターレ 1-0 FC東京(等々力)
川崎フロンターレが3連覇へ白星発進したが、その試合中、異例の行動が見られた。
それは、76分に鬼木達監督は2回目で3枚目の交代カードを切ったときのことだ。この時点で試合はスコアレス。序盤こそ川崎がリズムを掴んだものの、その後はFC東京が攻め込む。スペイン人指揮官のアルベル監督が率いたチームが作るチャンスをしのぐ時間帯も見られたため、鬼木監督は流れを変えようと試みたのだ。
その交代は、脇坂泰斗を下げて遠野大弥を投入するものだった。今季から「14」を背負う脇坂は、インサイドハーフで先発。トランジションの部分でその良さを見せていた。逆に、昨季からチームに合流した遠野は、これが今季公式戦初出場。積極的なプレーで、チームに活力をもたらすと思われた。
その脇坂が、交代しようと遠野の元へ走って近寄る。そしてピッチの外に出て遠野の方に手を伸ばす。交代時の“バトンタッチ”をしようとしたのだ。遠野も手を伸ばすが、ゲームに速く入ろうとしていたため、ピッチ中央に向かう足が速く、手が届かない。そこで脇坂は、ピッチラインを越えて遠野に手を伸ばす。交代で一度ピッチの外に出た選手が、再びピッチに入るのは異例の行動だが、ゲームを託したいという強い思いがあったのだろう。しかし、その手は届かない。遠野は手を伸ばしたまま、ボールに向かって走っていった――。