■レンタル先で大きく成長した男

 センターに清水のスピリットという柱が立つなら、右サイドには新たな武器が備わる。

 右サイドバックには、岸本武流。もともとFWだった選手であり、その突破力とゴールに絡むプレーが目を引くのは当然だ。昨季所属した徳島ヴォルティスはJ2へ降格してしまったが、岸本は強い存在感を放っていた。原輝綺とポジション争いをすることになるが、原を左サイドや1列前、あるいは岸本が中盤に入るというオプションも生まれる。

 中盤の右サイドでは、髙橋大悟の「突破」に期待をかけたい。昨季は育成型期限付き移籍で3シーズン目のプレーとなったギラヴァンツ北九州で、J2全42試合にフル出場。10ゴールもマークしている。前年にも9ゴールを挙げていたが、着実に成長していることを印象づけた。

 あくまで、J2での成績ではある。しかも北九州は、7勝しか挙げられずにJ3へと降格したチームだ。だが、その苦しむ北九州で、チームの全35得点の3分の1近いゴールを挙げたことには、むしろ意味があるともとらえられる。

 まだJ1での出場はない。エリート街道を歩んできたわけではなく、北九州を離れる際には、加入当時の自分を「なにもない」存在だったと振り返った。

 だからこそ、こういう選手の台頭が必要だ。清水は過去の栄光にとらわれるばかりではなく、未来を切り拓いていかなければならないのだ。

 J2で戦った2016年シーズンはあるが、ここ10年でJ1での1ケタ順位は3度。いきなりの復活ではなく、まず着実に1ケタ順位を狙い、新たな王国のベースをつくっていくシーズンにすべきだろう。

 

タスク:「1ケタ順位」
達成難度:★★★☆☆

(15)へ続く
PHOTO GALLERY ■中央に「芯」、右サイドに「新たなる武器」 清水エスパルスの2022年理想布陣
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