■柱になりつつある生え抜きたちに野心を上乗せ

 昨季用いた4-3-3のフォーメーションとメンバーが、今季もベースとなるだろう。そこに山崎凌吾金子大毅といった、かつてチョウ・キジェ監督の指導を受けた選手たちが加わった。最前線では、30代半ばを越えながらチョウ・キジェ監督の下で守備に汗をかくことを身につけた3シーズン連続20ゴール越えのピーター・ウタカが重宝されるだろうが、体を張ったポストプレーのできる山崎も、重要なオプションになるだろう。

 さらに、新たな野心が融合する。大前元紀マルティノスといった、一度はJ1でプレーしながらJ2での戦いを強いられた選手たちが、京都とともにJ1に再挑戦する。そのリベンジの思いは、チームの背中を押すことだろう。マルティノスを先発させれば、昨季は左ウィングでの起用が多かった松田天馬をインサイドハーフに置くことができる。昨季はキャプテンを務めることでさらに成長した「キジェ・イズム」の申し子が、チームの心臓となるはずだ。

 今年の8月で30歳になる宮吉拓実は昨季、自身2度目のシーズン2ケタ得点を達成。その宮吉の他にも下部組織出身者は多く、川崎颯太、新背番号10の福岡慎平らには、京都の新たな柱となっていくことが求められる。ここ2シーズン、正GKを務めた若原智哉は、上福元直人ら新加入の選手と競争か。後方に経験豊かなGKがいると、フィールドプレーヤーは安心して前に出ることができるもので、その点では上福元が一歩先んじるかもしれない。腰の引けた戦いは、「キジェ京都」には求められていないからだ。

 チョウ・キジェ監督も、湘南ベルマーレで初めてJ1昇格を体験した翌年には、1年でのJ2リターンを経験した。だが、後ろを振り返っている暇はない。「キジェ京都」は野心的に前へと出るのみだ。J1残留も、さらなる高みにたどり着く過程でしかない。

 

タスク:「J1残留」
達成難度:★★★★☆

(5)へ続く
PHOTO GALLERY ■【画像】生え抜きを新たな柱に野心を上乗せした京都サンガF.C.の2022年シーズン理想布陣
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