■ロドリゲス体制2年目の浦和でも期待される酒井の「圧巻のパス能力」

 今季、リカルド・ロドリゲス監督体制2年目、J1優勝を狙う浦和レッズでも守備だけでなく攻撃への大きな期待がかかる酒井だが、中国戦では右サイドでビルドアップの起点となり、加えて相手を混乱に陥れる決定的なパスを供給し続けた。

 酒井の最初の“危険なパス”は前半5分、それは足ではなくて腕で出されたものだった。相手陣で得たスローイング、あらかじめ用意されていたプレーだったのだろう、急加速で裏に抜け出そうとする伊東へ、酒井からの高速スローイングが送り込まれる。抜け出た伊東のシュートは枠を大きく外れたが、中国ディフェンス陣は間違いなくヒヤリとしたシーンだっただろう。

 酒井が次に攻撃で見せたのは、前半もうすぐ7分になるというタイミング。中盤で守田英正から横パスをもらった酒井は、トラップがやや大きくなったものの右足を一閃。グラウンダーでゴール左側に放たれたシュートはゴール前の混戦に入り、最終的には大迫勇也の惜しいシュートまでつながった。シュートの瞬間、相手に詰められたが、右側は狙わず、両チームの選手が入り乱れていたゴール左側に打てば、“何かが起きる”という意思を感じるものだった。

 この日は、サイドバックというよりウイングと言ったほうがよさそうな、前目のワイドなポジションをとることもあった酒井。そして前半10分、そのワイドな位置でボールを受けた酒井から、インサイドから前に飛び出した伊東へ、絶妙な斜めのタテパスが送られる。相手より先に抜け出した伊東はダイレクトでセンタリング。そしてそのボールが、遅れてスライディングをしてきた相手ディフェンダーの手に当たりPKを奪取したのだ。

 前半18分にも酒井は魅せる。守田とのパス交換から、今度は左足ダイレクトで中国ディフェンスの裏へパスを供給する。そこに走り込んでいたのは南野拓実。当然、酒井はその動きをすべて見ていて、相手が想定していないタイミングで、逆足でタテパスを通してみせたのだ。

 22分にも伊東とのあ・うんの呼吸で相手左サイドバックの裏を取るパスを送っている。このパスはふわりとした相手の頭を越すもの。酒井の高いパス能力が証明されたシーンだった。伊東だけではなく、31分にはインサイドハーフの位置から前へ飛び出した田中碧に浮き球のパスを供給している。前半、酒井は、日本代表の攻撃のスイッチ役になっていたと言えるだろう。

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