2021-22シーズンの冬の移籍市場が幕を開ける。近年、マーケットが開くたびに、注目を集めてきたのがキリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)とアーリング・ハーランド(ボルシア・ドルトムント)である。
「神童」と呼ばれてきた2人のうち、移籍の可能性が高いのはムバッペの方だろう。ムバッペとパリSGの契約は2022年夏までとなっている。この夏にはフリーになる選手であるということは、契約期間が半年を切る今冬から、他クラブとの自由交渉が可能になるのだ。
まだ23歳になったばかりでありながら、すでに世界中のフットボーラーの頂点を争おうという選手の動向は、世界の注目を集める。綱引きが行われるその裏には、選手の能力以上にビッグな理由が潜んでいる。
■ペレス会長の宣戦布告
レアル・マドリードはパリ・サンジェルマンの魂胆をすべて承知した上で、ムバッペ獲得に動いているわけではないだろう。しかし、フロレンティーノ・ペレス会長はパリSGという「国家クラブ」を、こう“口撃”していた。
「我々はベストプレーヤーを獲得しようとしているが、そのためにはカネが必要だ。現在、2億ユーロを出したとしても、選手を売らないクラブが存在する。国家クラブというのはクレイジーだ。選手を売ろうとしない。外から得た資金ではなく組織のマネジメントがモノを言うと私は信じており、またそのために戦う」
2021年11月、ソシオ総会でペレス会長はこう語った。泉のように湧き出る資金を基に勢力を拡大する国家クラブに対して明確に示した戦う意思、つまりは宣戦布告でもあった。