2021-22シーズンの冬の移籍市場が幕を開ける。近年、マーケットが開くたびに、注目を集めてきたのがキリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)とアーリング・ハーランド(ボルシア・ドルトムント)である。
「神童」と呼ばれてきた2人のうち、移籍の可能性が高いのはムバッペの方だろう。ムバッペとパリSGの契約は2022年夏までとなっている。この夏にはフリーになる選手であるということは、契約期間が半年を切る今冬から、他クラブとの自由交渉が可能になるのだ。
まだ23歳になったばかりでありながら、すでに世界中のフットボーラーの頂点を争おうという選手の動向は、世界の注目を集める。綱引きが行われるその裏には、選手の能力以上にビッグな理由が潜んでいる。
■パリSGの最大の目標はCL制覇
スポーツを国家戦略としてとらえるカタールの最大目標は、チャンピオンズリーグ制覇だ。そのために2021年夏、バルセロナが抱えるトラブルのおかげで移籍金ゼロで手に入れる僥倖に恵まれたとはいえ、リオネル・メッシまでも引き入れることに成功した。ネイマール、ムバッペ、メッシといったスター選手を擁しながら欧州の頂に立った写真を収めた瞬間にこそ、ナセル・アル・ケライフィ会長、そしてカタールのプロジェクトが完遂される。
この10年で、カタールの「国家クラブ」ことパリSGのチャンピオンズリーグにおける最高の成績は準優勝だ。2019-20シーズンにはファイナルまで勝ち進みながら、バイエルン・ミュンヘンに敗れて涙をのんでいる。
万事が順調というわけではないが、急速な発展を遂げてきたと言って間違いはない。だが、フットボールの世界の流れは早く、追う立場から追われる立場になったパリSGは、保有する選手を狙われるようになってしまった。
スタープレーヤーたちへの引き抜きの噂は絶えない。そして、いま最も強い移籍の憶測が流れているのがキリアン・ムバッペだ。