■カタールが描いた青写真
最初に述べたように、ムバッペはパリSGとの契約延長にサインするには至っていない。このままならば、この夏にはフリーエージェントになる。
パリSGにとって契約を難しくしている理由のひとつは、国外にある。いや、ヨーロッパにさえ存在しない。問題の根っこは、メガクラブの資金の出どころであるカタールにあるのだ。
カタール投資庁の子会社と言えるQSI(カタール・スポーツ・インベストメンツ)がパリSGを買収した理由は、サッカーを通じたブランド力アップとイメージ戦略であることはすでに記した。そのゴールが、2022年にカタールで開催されるワールドカップであることは当然である。すべては、そこからの逆算で、このビッグプロジェクトは動き出している。
ネイマールはブラジル代表、ムバッペはフランス代表と、共に優勝を狙える代表チームのエースである。ブラジルとフランスのいずれかが優勝を果たした場合、当然、ネイマールあるいはムバッペにフォーカスが当たる。もしかしたら、この2人がファイナルで顔を合わせ、優勝を争うキーマンとして激突する可能性もある。その際、この両雄がパリSGに所属しているという事実はクラブの、さらにはカタールのイメージアップに大きく貢献するのだ。
ただし、この中東初開催となるワールドカップには、ある問題があった。通常の6月開催ではなく、11月から12月にかけて行われることである。