■セスクら買戻しの資金を転用すれば…
セスク、ピケ、アルバ…。彼らのケースから分かるのは、カンテラ重視は資金の調達・確保に助力するということだ。
3人を取り戻すのに費やした移籍金を計算してみる。その総額は、実に5300万ユーロ(約70億円)にも上る。単純な比較ではあるが、この金額を要した過去の他クラブの移籍を見ると、昨夏にチェルシーがティモ・ヴェルナー獲得に費やしたのと同額である。カイル・ウォーカー(2017年、トッテナム→マンチェスター・シティ)は5270万ユーロ、レロイ・サネ(2016年、シャルケ→マンチェスター・シティ)は5200万ユーロと、ハイレベルな選手を迎えることもできたかもしれないのだ。
たとえ補強に使われるなくとも、それだけの金額を無駄にしないだけでも価値あることだ。現在のバルセロナには、13億5000万ユーロの負債がある。コロナ禍での財政圧迫で、ついにナタは振るわれたものの、ロナルド・クーマン監督の解任さえ、違約金などの関係で簡単にはできない状況に陥っていた。
見方を変えれば、自前で育てた優秀な選手を高額で買い戻すという無駄な金の使い方をしなければ、シーズン前などもっと早期の監督交代などで、ここまで泥沼にはまることはなかったかもしれない。また、新監督に優秀な人材を招くなど、さらなる明るい未来を広げることにつながっていたかもしれない。