■「ラ・マシアこそがバルセロナの進む道」

「ラ・マシア(バルセロナの育成寮)こそが我々の道だ。バルセロナには、不可侵のプレースタイルがある。純正で、認知された、他チームにはない、プレースタイルだ。スポーツ的側面の成果と照らしあわせて、そこをつなげられれば、もう一段階高いレベルに行けるはずだ。そうすれば、我々は打倒不可能なチームになる」

 これはジョアン・ラポルタ会長の言葉である。

 カンテラこそ解決策ーー、と言いたいところだが、それほど単純な話ではないだろう。先のクラシコで、バルセロナはレアル・マドリーに敗れている。若い選手の経験不足を指摘する声もある。
だが、未来のバルセロナのピッチに立っているのは、現在の若手なのだ。
まだ買い戻しには至っていないが、近年ではダニ・オルモ(ライプツィヒ)を復帰させるという報道もあった。

 ダニ・オルモもセスクのようにトップで活躍する自分を思い描くことができず、16歳でディナモ・ザグレブに移籍している。元々、スペインとクロアチアにルーツを持つ選手だ。最終的にはスペイン代表でのプレーを選んだものの、ルーツのある国でプロのサッカー選手として戦うというのは、当時の彼にとってはある種の必然だったのかもしれない。

 そして、これもまたセスクと同様に、復帰が実現すれば、また無駄金を使うことになるが、ダニ・オルモの輝きは、ラ・マシアがいまだにその価値を落としていないという証明なのだ。

 若手の起用が将来の成功を約束する、と言い切れるほど、フットボールの世界は甘くない。それでも、「カンテラに賭ける」というのはバルサらしいと思え、その哲学を信じて栄光に辿り着いたというのも確かなのだ。

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