■フィッカデンティ監督と柿谷が語った「セレッソへの感謝」
そして、強き勝者は、敗者への労いも忘れていなかった。
今シーズンにC大阪から名古屋へ移籍し、古巣対決となったFW柿谷曜一朗は、「正直、(決勝は)セレッソとだけはやりたくない、セレッソだけはやめてくれと思っていました」と、苦笑いをしながら打ち明け、「でも、やってみたらとても楽しかったです。表彰式のあと、セレッソの選手がおめでとうと声をかけてくれて、もしそれが逆に自分の立場だったら、こんなに素直におめでとうと言えるのかなと。これまで一緒にやってきた仲間たちの素晴らしさにも気が付けた。それも移籍してきたからこそ分かったことだと思います」と、かつてのチームメイトたちの存在を誇った。
また、フィッカデンティ監督も、「戦術的には、お互いの良いところを出し合ったり、打ち消し合うような、とても良い試合だった。名古屋のサポーターはもちろんだが、同じサッカーファンという意味では、セレッソのサポーターも良い雰囲気を作ってくれたので、とても感謝している。セレッソは、若い選手も活躍していて、とても素晴らしいチーム。2つのチームで、価値あるものを共有できたと思います」と、C大阪のチームやサポーターを称えた。
キャプテンを務めたDF中谷進之介が、「タイトルの味は手にしたものしか分からないと実感した。またこの喜びと感動をみんなでたくさん味わいたい」と話すように、大きな愛と確かな強さを手にした名古屋は、支えてくれた人たちへの感謝を胸に、これからも成長を続けながら躍進を果たすに違いない。残すはリーグ戦のみ。今年も3位以内のフィニッシュを狙い、来季のACL出場権を獲得できるか。
■試合結果
名古屋グランパス 2―0 セレッソ大阪
■得点
47分 前田直輝(名古屋グランパス)
79分 稲垣祥(名古屋グランパス)