【日本サッカーの未来を拓く鍵】育成組織充実の首都クラブは長友佑都らベテランに学ぶべし【鹿島アントラーズvsFC東京から見えたもの】(3)の画像
明治大学を経て戻ってきたアカデミー育ちの安部など優秀なFC東京には若手がいる 撮影:中地拓也

 今、日本代表を取り巻く環境は芳しいものではない。だが、代表チームとは突然急成長するものではなく、サッカーのある日々が底上げを果たしていくものだ。サッカージャーナリスト・後藤健生は、10月23日のJ1第33節、FC東京鹿島アントラーズの対戦から未来を拓く鍵を見出した。

■上田は大迫の後継者候補

 日本代表では、CFの座は長期間に渡って大迫勇也が独占している。前線でボールを収めて、相手DFを背負ってボールをキープし、そこでタメを作れる選手は大迫しかいないのが現状だ。スペースに抜け出して得点を決める古橋亨梧オナイウ阿道のような選手は何人も候補がいるのだが、CFとしてトップに張ってターゲットになれる選手がなかなか見つからないのが現状だ。

 上田綺世は、大迫のように相手のDFを背負ってボールをキープするようなプレーはないが、トップに張ってポストとなってワンタッチのパスでシャドーを使うなどの展開がうまい選手だ。そして、このFC東京戦のように、絶妙のタイミングで動いてスペースに進入してボールを受けられるようになれば、今後は日本代表でも大迫の後継者候補となることは間違いない。いや、そうなってもらわないと困るのである。

 そうした意味でも、FC東京戦での上田のプレーは多くの意味で期待感を抱かせるに十分なものだった。

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