■FC東京の今季最大の補強はクラブの未来を照らす

 FC東京には、けっして若手選手がいないわけではない。

 いや、FC東京はむしろ育成の伝統のあるクラブであり、多くの選手を輩出している。

 現在のロースターを見ても、DF陣には中村拓海のほかにも、中村帆高や岡庭愁人、バーグナガンデ佳史扶とサイドバックを中心に多くの若手の名前が並んでいる。そして、中盤には鹿島戦でベンチ入りしていた品川愛斗、FWには田川亨介がいる。

 もちろん、現在負傷で離脱中の選手もいるわけだが、そうした若手をもっと積極的に起用することはできないのだろうか。

 なにしろ、今シーズンのFC東京は優勝はもちろん、3位以内も手の届かないところにおり、もう降格の心配もないのだ。ベテラン中心のチームで結果を出しても将来にはつながらないのではないか。もちろん、チームとしての力を維持するためにはベテランの力は必要だが、そうしたベテラン中心のチームの中に若手を加えて、彼らを育てていけばクラブの将来につながるのに……。

 今シーズンもFC東京はベテラン中心のチームだった。

 DFでは森重真人(34歳)が中心。レバノン代表のジョアン・オマリも31歳のベテランだ。MFでは攻守ともに高萩洋次郎が圧倒的な存在感を放ち、攻撃ではディエゴ・オリヴェイラ(31歳)と永井謙佑(32歳)の好不調が、そのままチームの成績に直結する状態から抜け出せていない。

 そして、今シーズンの最大の補強が、35歳の大ベテラン長友佑都の復帰だった。

 もちろん、長友は、今でも驚異的な運動量を誇る日本最強の左サイドバックである。だが、このベテランに期待したいのはプレーそのものもそうだが、若手に対する刺激だ。FC東京というのは伝統的に優れたサイドバックが育っているチームなのだ。先ほど名前を挙げた中にも将来が期待できるサイドバックの名前が何人も含まれている。そうした選手たちが長友の姿から多くを学んで育っていってほしいものである。

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