■存在感を放った2つのプレー
FC東京戦の上田は、けっして無意味に中盤に下がってしまうことがなかった。ボールが来なくても、あるいは相手にスペースを消されていても、我慢して絶えずゴールを狙える位置に立ち続けていた。
その分、シャドーストライカーとして起用された土居がスペースを見つけては走り込んでパスを引き出す役割を追った。不動の上田と周辺を動き回る土居のコンビネーションも良かった。
公式記録によれば、この日の鹿島はシュートを13本放っている。そして、CFの上田のシュートは4本(前半2本、後半2本)だった。CFが最多のシュート数を記録するのは当然と言えば当然なのだが、上田が絶えずシュートを狙い続けた結果の数字だった(見逃してはいけないのは、4本のシュートすべてが得点の可能性のある有効なシュートだったことだ)。
前線に張った上田は、シュートをする以外にもターゲットとなってポストプレーをすることでもチームに大きく貢献していた。
前半の18分には上田はゴール前左サイドで短いが鋭い動きで相手ペナルティエリア内に走り込んで、ディエゴ・ピトゥカからのパスを引き出し、これを中央に折り返したプレーがあった(土居が正面からシュートしたが、FC東京のGKの児玉剛がよく防いだ)。
また、23分には今度は右サイドの深い位置で常本佳吾の縦パスを受けて、ここでポイントを作って上がってきた常本に戻し、常本がクロスを入れた場面もあった。
上田の2つのプレーは、動き出しのタイミングを図って相手のマークをうまくはずしたプレーだった。
ちなみに、前半の2本のシュート(12分、37分)も同様にゴール前でうまいタイミングで抜け出してパスをもらって、ワンタッチで引っ掛けたシュートだった。後半に入っても55分に同じように瞬間的な抜け出しでフリーになって、ファン・アラーノのパスを引き出してシュートを撃っている(前半の2本はGKの児玉剛に防がれ、55分のシュートはわずかに枠をとらえられなかった)。