■2つの「良さ」が重なって生まれた得点
そこで、65分の得点シーンをもう一度振り返ってみよう。
まず、上田が自陣でファン・アラーノからのパスを受けて、ワンタッチでシンプルにレオ・シルバに戻したのは、前半から見せていたポストプレーとまったく同じだった(ただし、そのポイントが相手陣内だった)。
そして、その後も足を止めずに前線まで走るのだが、特筆すべきはゴール前に入っていくタイミングの取り方のうまさだった。一気に全速力で、戻る相手のDFと並走して走るのではなく、右サイドでパスが回っているのをよく見ながらタイミングを調整し、相手のDFより一歩遅れて相手との距離を保ちながらゴール前まで進出したことによって、右の土居からのクロスを受けた瞬間にすぐにシュートを撃てるだけのスペースが生まれていた。
前半から何度かシュート場面やポストプレーを行った場面を見ても分かるように、上田は絶妙のタイミングで動き出すことによって相手DFのマークをはがすことに成功していたのだ。
つまり、65分の得点はこの日の上田綺世の良さ、つまりワンタッチでのシンプルなポストプレーと、ゴール前に入り込むタイミングの良さで相手のマークをはずすプレーが2つ重なって生まれたゴールだったのだ。もちろん、最後のフィニッシュの場面でのシュートの上手さと落ち着きも重要だ。