■北九州の背番号10はロッベン級の左足を持つ
J2リーグから世界へ――。今夏、磐田からブンデスリーガ・シュツットガルトに移籍し、リーグ戦3試合目でデビューを飾った伊藤洋輝に続く“ネクスト伊藤”、2人目はMF高橋大悟だ。
19年途中に清水エスパルスから北九州に期限付き移籍し、3シーズン連続でプレーするこの22歳は、ここまで全29試合にフルタイム出場してチームトップの6得点をマークしている。主力の大量流出で低迷を強いられた北九州が、J3降格圏から浮上してきた原動力のひとりだ。
29節のツエーゲン金沢戦では、得意の左足からスーパーな決勝弾を突き刺した。ゴール正面やや右から、鮮やかなインカーブの軌道でネットを揺らしている。元オランダ代表のアリエン・ロッベンを思い起こさせる一撃だった。「ああいう形は狙っていましたし、練習でもやっているコースだったので練習どおり」と、本人も納得のゴールである。
2列目の右サイドやトップ下を主戦場とする高橋は、ボランチにもフィットする。攻守にハードワークする北九州で鍛えられているだけに、ディフェンスの局面でもしっかりと戦える。そのうえで、相手ゴール前でアイディアと意外性を発揮する。ギリギリのところでプレーの選択を変えられるのも、彼の長所にあげられる。
昨シーズンのJ2で41試合9得点6アシストの成績をあげ、今シーズンもここまで6得点2アシストの数字を残している。得点に関わることを自らに課しており、金沢戦後には「やっぱり僕は点を取ること、そして取らせることが大事だと思います」と話した。振り返ればシーズン前には、「まだここでやらないといけないことがあり、このチームで僕はまだまだみなさんとともに強くなっていける」と語っている。チームを引っ張っていくとの責任感が、レベルアップにつながっているのだ。
J2昇格1年目で5位に食い込んだ昨シーズンの北九州は、後半戦に急激な失速を経験した。黒星先行で下位に低迷してきた今シーズンは、後半戦に巻き返しをはかっている。昨シーズンとは異なる展開のなかで、背番号10を背負うレフティーは逞しさを増している印象だ。戦いのカテゴリーを上げていくのは確実で、海外からオファーが届いても驚きではないだろう。