■ドリブルだけでなく魅力的な連携プレー

 マルシーニョがドリブルで魅せたのはこの場面だけではない。12分には対峙した相手を一瞬のスピードを使って相手を抜き去り、56分には再びヌルヌルドリブルでシュートまで持ち込んだ。現在はベルギーに移籍した、川崎の前半戦の絶対的左ウインガー三笘薫をほうふつとさせるリズムとテクニックを、披露したのである。

 そのテクニックを生かしのは、ドリブルだけではない。42分にはチーム2点目となる、MF脇坂泰斗の得点をアシストしたのだが、そのラストパスはゴールに背を向けた状態でのベルベットパス。旗手怜央の縦パスを、勝ち越し弾につなげてみせた。

 マルシーニョは25日にチームに合流して出場機会をうかがっていたとはいえ、コンディションが上がるまでにはまだ時間がかかると思われていた。というのも、今年2月に重慶(中国1部)を退団してからは所属先がなく、ブラジルで個人トレーニングを積んでいたために、試合勘を取り戻すのに時間がかかると思われていたからだ。そんな不安を感じさせることはなく、初戦とは思えぬキレを見せ、さらには連携面でも川崎のパスサッカーに見事に順応してみせた。

 前半戦では圧倒的強さを見せた川崎にとって、残るタイトルはJリーグと天皇杯だけとなり、負けるこことができない状況が続く。マルシーニョという新たなドリブラーが、川崎再浮上の武器となりそうだ。

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