「J1残り10節、熾烈な生き残り争い」(1) 「ほぼ降格圏を抜けた柏」と警報ランプが続く「清水と湘南」!「残り試合数=逆転可能な勝ち点差」という常識の画像
やはりネルシーニョの持つ経験は大きいのか 写真:原悦生

 世界トップのリーグではないかもしれない。だが、世界で最も危険なリーグであるとも言えるのだ。Jリーグでは競争が熾烈で、前年の優勝チームが降格の危機にあえぐことさえある。この厳しいリーグのラスト10試合を、サッカー取材歴50年以上のベテランジャーナリスト・大住良之が読み解く。

 Jリーグ1部(J1)は第28節まで終了、いよいよ残り10節となった。この時点にくると、「優勝争い」のチーム、「ACL圏」の3位を目指すチーム、そして「残留争いのチーム」と、それぞれに明確に立場が分かれ、残りシーズンの目標がはっきりとしてくる。

 優勝争いは川崎フロンターレ横浜F・マリノスの2クラブに絞られた。オリンピックによる中断期間明けから主力の流出と故障者、なかでもセンターバックの故障が続き、急ブレーキがかかった川崎。今後も続くと予想された過密日程も懸念材料だったが、9月にはいってルヴァンカップでは浦和レッズに準決勝進出を阻まれ、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)では韓国の蔚山現代にPK戦で敗れて一挙に「荷物」が軽くなった。まだ天皇杯は残しているが、リーグ戦の最中に残されているのは10月下旬の準々決勝1試合のみ。Jリーグに集中できる環境が整ったと見てよい。

 ケビン・マスカット監督率いる横浜FMは、前任のアンジェ・ポステコグルー監督時代に劣らないスピードと攻撃を見せて川崎に急接近したが、ここにきて川崎と同様、主力のセンターバックが相次いで負傷、一転して不安をかかえることになった。両チームの対戦は12月4日の最終節(第38節、日産スタジアム)。この試合で優勝が決まる状況になれば面白いのだが…。

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