■柏にとって大きかったネルシーニョの経験
「残り試合数=追いつきが可能な勝ち点差」のセオリーに則れば、横浜FCは第29節のFC東京戦に勝たないと降格が濃厚となってしまう恐れがある。9月18日の午後7時から味の素スタジアムで開催されるFC東京×横浜FC(「FCダービー」と呼んだらいいだろうか)は、どちらのチームにとっても非常に重要な一戦なのである。
さらに言えば、残り10試合で17位徳島に勝ち点10差をつけた柏は、ほぼ「降格圏を抜けた」と見ていいことになる。今季、柏は昨年のリーグで28ゴールを挙げて得点王となったFWマイケル・オルンガを失い、得点力不足で苦しんだ。一時は降格圏の17位まで順位を下げ、7月には日本代表MF江坂任も浦和に移籍して危機的状況に陥ったが、Jリーグきっての経験を誇るネルシーニョ監督はオリンピックによる中断期を経てチームディフェンスを立て直し、8月には川崎フロンターレ戦を無失点で乗り切り、第26節からの3連勝で一挙に下位との差を広げた。
「われわれにとっては非常に大事な1勝だった」
9月12日の第28節、アウェーでFC東京を相手に1-0の勝利をつかんだ後、ネルシーニョ監督はほっとした表情でこのように語った。もちろんまだ安全圏などではないが、昨年末の大けがから復帰したMF戸嶋祥郎が中盤で運動量を発揮するようになって安定した守備が、今後大崩れすることはないと、私は見ている。