【その2 セルティックパーク】
・“天国”と呼ばれた旧スタジアムは1892年建立
セルティックのホームスタジアムは「セルティックパーク」と呼ばれている。グラスゴーを西北西から東南東に貫通するクライド川の北岸、市の東部に位置し、グラスゴー中央駅から数キロの近さにある。収容は約6万人。セルティックが使うだけでなく、スコットランド代表の試合にも使われ、ラグビーで使用されることもある。
「初代」のセルティックパークは現在の位置の少し北側に年間借地料50ポンドで土地を借り、クラブ員やセントメリー教会員などのボランティアでクラブ創立の翌1888年に完成した。しかし2年後に地主(もちろん英国系だった)が当初の9倍という高額な借地料を吹っかけてきたため、約200メートル南の現在の位置に新スタジアムをつくることにした。
後に新スタジアムは「天国」と呼ばれるようになる。この土地は、北隣にあるジェーンフィールド墓地の墓石を切り出した後のくぼ地だった。「天国」という愛称は、アイルランド人特有の「アイロニー(皮肉)」だったのかもしれない。現在もスタジアムの北側にはこの墓地が広がっている。
1892年に完成した新しい「セルティックパーク」は、当時のヨーロッパでは最高クラスのもので、陸上競技のトラックをもつ楕円形のスタジアムだった。大半が立ち見ながら1938年には8万3500人の最多観客を記録している。このスタジアムは、改修を重ねながら1990年代まで使われた。
しかし1990年代にはいってスタジアムを全個席にしなければならないという法律ができたため、クラブは大改修を決意、すでに新しくなっていた南西側のメインスタンドはそのままにして、他の3方のスタンドを2層式、ピッチに沿った形にして「サッカースタジアム」へと生まれ変わらせた。完成は1998年のことだった。