【ラ・リーガ分析】デ・ヨングの「変質」と新加入E・ガルシアが変えた「ボールの流れ」【「ポスト・メッシ」時代の光と影!新生バルサの輪郭とクーマンが抱える課題(2)】の画像
東京五輪でも活躍したペドリは、今季のバルサでも鍵となる 写真:原壮史

 もう、リオネル・メッシはいない。
 バルセロナの、メッシ不在のシーズンが始まった。バルセロニスタの失望と喪失感は相当なものだろう。それでも、ロナルド・クーマン監督はチームを立て直さなければならない。

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■3トップの中心となるオランダ代表

 バルセロナは、ラ・リーガの開幕戦を、良い内容でものにした。今後、ポイントになりそうのは、メッシがいなくなった前線の配置をどうするかだ。

 初陣でクーマン監督が選んだのはアントワーヌ・グリーズマン、メンフィス・デパイ、ブライスワイトの3トップだった。

 この3人は献身的に守備を行い、守備から攻撃へのトランジションでは積極的にスペースを見つけて走り込んでいく。また攻撃面においては流動的にポジションを入れ替え、相手のマークを外しながらフリーの選手がボールを受ける。

 とりわけ、メッシがいなくなったチームで、期待を背負うのはグリーズマンと新加入のデパイだろう。

 今季のバルセロナの攻撃は、彼らを軸に回っていく。デパイに関しては、以前からクーマン監督が獲得を熱望していた選手だ。オランダ代表でデパイを指導したクーマン監督は、その万能性と戦術理解度の高さを評価していた。

 今夏、マンチェスター・シティを退団したセルヒオ・アグエロを獲得したバルセロナだが、彼は早々に負傷離脱を余儀なくされた。その影響はもちろんあるだろうが、当初からクーマン監督のファーストチョイスはデパイだったはずだ。

 そして、デパイの相棒として考えられているのが、グリーズマンである。メッシやネイマールのような華麗さはないものの、効果的かつ効率的にゴールに迫る。プレシーズンから、デパイと良好なコンビネーションを見せ、新たな化学反応を予感させていた。

 デパイやグリーズマンは、メッシほどには独力で状況を打開できないかもしれない。しかし、彼らは連係力と個の能力のバランスに優れている。自分でいくと見せかけ、他人を使う。あるいは、その逆もある。守備者からすれば、守りにくい相手なのだ。

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