古橋亨梧がまるで背中から翼がはえたように、ヨーロッパで飛翔している。三笘薫、田中碧、林大地などヨーロッパ各国に散っていった若手プレーヤーたちの活躍も待たれる。Jリーグに目を移せば、ドイツからのGK、ポルトガルからはFWなど、代表クラスがやって来た。そして大迫勇也、酒井宏樹など長らくJのピッチでは見られなかった現役代表プレーヤーが帰って来る流れも生まれている。夏の移籍市場で日本をめぐるプレーヤー勢力図は大きく変わった。これからどのように展開していくのか、お楽しみはこれからだ。
■目指すべきは「競技レベルの向上」と「財政力」
遠い将来を考えれば、Jリーグの水準を上げてヨーロッパの主要リーグに負けないほど技術レベルが高く、プレー強度が高いリーグにしていくのが理想的だ。そうなれば、日本選手はレベルアップのためにわざわざ遠いヨーロッパに渡る必要はなくなり、ファン、サポーターは日常的にハイレベルの戦いを目撃することができる。
そして、Jリーグクラブが海外のビッグクラブに匹敵するだけの財政規模を持つようになれば、世界のトップクラスの選手がJリーグで活躍するようにもなるだろう。
かつて、1993年にJリーグが始まった当時、世界第二の経済大国日本の大企業がバックについたJリーグクラブの財政力はヨーロッパのクラブに匹敵するものだった(テレビ放映権料の高騰によってヨーロッパ・サッカーでビッグマネーが動くようになる前のことだ)。そのため、1994年のアメリカ・ワールドカップで優勝したブラジル代表にはJリーグクラブに所属する選手が多数いたのだ。
現在でも、たとえばメキシコの場合、代表選手のほとんどはメキシコ国内リーグに所属している。メキシコの国内リーグ「リーガMX」の競技レベルは、ヨーロッパのトップリーグと同等とは言えなくても、それなりに高いからでもあり、また財政的にもメキシコ・リーグには十分な競争力があり、ヨーロッパの有名選手やブラジルやアルゼンチンの代表クラスもメキシコでプレーしているのだ。
Jリーグにとって、リーガMXは目標とすべき存在であり、プレーそのものもそうだが、リーグの経営面においても、やはりメキシコは日本が目指すべき国の一つということになる。