■京都はイスマイラ、琉球は武田英寿が勝利に貢献

 夏の第2登録期間(ウインドー)を利用して、新戦力を補強したチームは多い。再開初戦となった今節に、いきなり結果を残したニューカマーもいる。

 首位の京都では、ナイジェリア人FWオリグバッジョ・イスマイラが価値ある働きを見せた。後半開始から途中出場で送り込まれると、50分に右サイドからのクロスをヘディングで合わせたのだ。DFに当たってコースが変わる幸運にも恵まれたが、J2デビュー戦での初ゴールが2対1の勝利を呼び込んだ。

 京都は4-1-2-3を基本システムとするが、ピーター・ウタカに加えてイスマイラが最前線に並ぶことで、相手守備陣への圧力は増す。チョウ・キジェ監督はイスマイラの起用について、「前線のターゲットを1枚増やすことで、もう少し厚みのある攻撃ができるかなと考えた」と話すが、この23歳はスプリントで相手守備陣を下げさせることもできる。周囲との連携が高まっていけば、強力なオプションになりそうだ。

 前節まで4位のFC琉球では、24年パリ五輪世代のレフティが輝きを放った。浦和レッズから育成型期限付きをした武田英寿だ。

 北九州とのアウェイゲームは1点ビハインドで折り返し、武田は後半開始からピッチに立つ。阿部拓馬と2トップを組みながら、流動的にポジションを取ってボールに関わっていく。

 見せ場は68分に訪れた。ペナルティエリア右外で直接FKを得ると、風間宏希と武田がポイントに立つ。ふたりが打ち合わせをすると、武田が助走に入る。得意の左足を振り抜き、ゴール左スミへ蹴り込んだ。カベの間をすり抜けた一撃は、GKに反応を許さないファインゴールだった。

 1対1に持ち込んだ琉球は、84分に清水慎太郎が決勝ヘッドを流し込み、3試合ぶりの勝点3をゲットした。前節まで3位の新潟が大宮と引分けたため、琉球は京都、ジュビロ磐田に次いで3位に浮上している。

 貴重な同点弾が移籍後初ゴールとなり、自身Jリーグ初得点にもなった武田は、試合後に笑顔をこぼした。2対1とリードした終盤には、阿部に決定的なパスを配球している。チームが勝利できたことっを含めて、満足できるデビュー戦だったに違いない。

「ハーフタイムに後半のアタマからいくと言われて、負けている状況だったので、意地でも点を取ってやろう、シュートをどんどん打っていこうと思って入りました。FKは宏希さんと話して、ファーに上げたほうが確実じゃないかとも話したですが、ここは負けているからシュートでいこうと。自分が打っていいですかと言って、ファーがちょっと空いていたので、うまくいって良かったです」

 青森山田高校から20年に浦和入りし、プロ1年目はリーグ戦3試合に、2年目の今シーズンは同8試合に出場しているが、定位置奪取には至らなかった。ボランチの上里一将やトップ下の池田廉が負傷離脱中の琉球では、即戦力として期待されている。久保建英と同じ2001年生まれの19歳にとっては、J1昇格争いを演じる琉球で存在感を発揮することが、自身の未来を切り開くことにもなる。

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