7月31日、東京五輪男子サッカー決勝トーナメントのニュージーランド戦に挑んだ日本代表。1次リーグで南アフリカ、メキシコ、フランス相手に久保建英が3戦連続ゴールを決め、出場国唯一の3連勝したものの、決勝トーナメントの初戦は厳しい戦いを余儀なくされた。取材歴50年の2人のサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が戦わせるサッカー日本代表の東京五輪、そして未来についての激論の行く末は……?
●準々決勝結果
・男子
スペイン5―2コートジボワール(延長)
日本0−0ニュージーランド(PK4−2)
ブラジル1ー0エジプト
韓国3−6メキシコ
・女子
カナダ0−0ブラジル(PK4−3)
英国3−4豪州(延長)
スウェーデン3−1日本
オランダ2−2米国(PK2−4)
●男子準決勝
8月3日
17時〜 メキシコーブラジル
20時〜 日本ースペイン
―ニュージーランド戦、森保一監督が動いたタイミングについてはいかがですか。
大住「遅かったよね?」
後藤「遅かった」
大住「迷ったんだろうね」
後藤「そりゃ難しいよ。負けているなら早く手を打つけど、それほど悪くはないのに上手くいっていない。一番、監督として悩むよね」
大住「上田綺世を入れるのは当然だと思うけど、中山雄太を入れたのはすごいなと思った」
―あの交代の意図は?
大住「相馬勇紀を代えるというのは、ああいうポジションだし、目先を変えて違うタイプの選手を出すというのが当然の判断なんだよね。たとえばそれが前田大然なのか、三笘薫、もしくは三好康児なのか。
でもそうじゃなくて旗手怜央を前に出す、と。そして中山を入れるというのを考えた。中山を入れると守備の強さもあって、両方のプラスになった。もしあれが中山じゃなくて、旗手がそのままでいて、アタッカーを交代で出していたら、90分になる前にやられていたかもしれない」
後藤「最終的には(延長開始の時点で)三笘を入れたんだよ。けど、その前にワンクッションで、旗手・中山という守備の強いコンビを置いて、ゲームが落ち着いてから三笘を入れた。あれは交代の妙だね」
大住「うん、よく考えたと思う」
後藤「ちょうどやられていた時間帯で、守備を安定させなくちゃいけなかったからね」
大住「とにかく1点を取るゲームだったから、前のほうも変えたけどね。けど、攻撃力だけを考えれば、旗手も後ろから攻められると、って置いておきたくなるような状況ではあったんだよね。それをよく中山を入れたなと。ほかの采配については分からないけど、中山を入れたという判断は、森保監督の素晴らしい采配だった」