■グループリーグの先行きに暗雲

 この日のなでしこジャパンの攻撃は、大半が2人だけの組み合わせだった。ボールをもったとき、パスコースがひとつしかなく、そこに送ると、カナダの守備に狙われ、奪われないでも、戻すしかない苦しい状況に置かれるのだ。コンビネーションプレーとは、2人の関係のなかに、3人目、4人目がからんでくる攻撃である。

 たとえば、後半18分の長谷川—田中—三浦—長谷川(3人目)という攻撃のとき、スペースに走る長谷川ではなく、長谷川に当たるためブキャナンが動いて生まれた中央のスペースを岩渕が狙い(これが4人目である)、そこに三浦からのパスが出ていたら、本当に決定的な形となっていただろう。

 なでしこジャパンのように個のスピードや馬力で突破できないチームにあっては、こうしたコンビネーション攻撃が「生命線」と言っていい。「各駅停車」のパスでは、どんな相手でも苦戦は必至だ。

 この日本対カナダの前に、札幌では同じE組のイギリス対チリが行われたイギリスが圧勝するのではないかと思われたが、チリも強いフィジカルで抵抗、2—0という結果だった。もちろん、優勝候補の一角と言っていいイギリスは強いフィジカルとスピードをもっている。なでしこジャパンがコンビネーションプレーを復活させない限り、イギリスだけでなく、チリにも苦戦は必至だ。

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