■最終的に泣かされるのは…

 パフォーマンスが良くなければ、市場価値も下がっていくのは自明の理だ。グリーズマンもデンベレも、バルサ加入時よりも大きく市場価値を落としている。つまりは、この2人を売却するにしても、支払った以上の移籍金を手にできる可能性は極めて低いわけだ。それどころか、今回の騒動を理由として、買いたたかれる可能性さえある。

 各国で悪評を振りまいた2人ではあるが、グリーズマンもデンベレも、働き場所を失うことはないだろう。端的に言えば、バルサとの契約はまだ残っているのだ。さらに、グリーズマンにはこの夏、すでにマンチェスターの2クラブ、チェルシーにアーセナルなど、いくつかの獲得候補の名前が浮上していた。だが、クラブを去って人件費を浮かせることには貢献できても、多額の移籍金という土産を残すことはできず、バルサ在籍期間のマイナス採算を残すだけになる。

 長期展望を描けず、場当たり的な補強を続けてきたバルセロナの失態であることは間違いない。だが、今回のような人種差別騒動を起こすことまで見抜くのは至難の業である。

 復権を目指すバルサにとっては痛恨の事態。はたしてどんな結末を迎えるのかーー。

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