■83分にもあった意外な光景
そういえば、逆転のゴールが決まる少し前にも性質的に似た場面があった。2-2の83分、湘南は選手交代で田中聡と山田直輝を下げ、オリベイラと梅崎司を投入した。その時、田中はゆっくりと歩いてピッチを去ろうとしたが、山田がその背中を押して急がせた。
少しでも時間を稼いで勝ち点1を死守するのではなく、堂々と勝ち点3を目指す。
その山田の行動はピッチに残る選手への明確なメッセージとなり、87分に岡本拓也がネットを揺らした。
3-2としてからも湘南は時間稼ぎをしなかった。ゴールキーパーの谷晃生は普通にゴールキックを蹴り、大袈裟に倒れ込む選手もいなかった。
湘南は堂々と勝利を目指して戦い、見事に勝利を手にしたのだ。グッドルーザーという言葉があるが、湘南は単なる勝者ではなくグッドウィナーだった。